2020年5月25日
コロナ禍の傷に塩をぬるかのごとく、様々なフェイクニュースが私たちを悩ませます。
スタンフォード大学の研究グループが行った調査によると、ウェブサイトの記事に形の整っていないヒナギクの写真をあげ「福島原発の花」とタイトルをつけたところ、10人中4人の高校生が出所を確認せず本物だと信じたそうです。これは7タイプあるフェイクニュースの6番目「操作された内容」に該当します。
この他にも騙そうとする意図の大きさに応じて、右肩上がりに「風刺・パロディ」「誤った関連づけ」「ミスリーディングな内容」「偽りの文脈」「偽装された内容」「捏造された内容」があります。
動機としては「質の悪いジャーナリズム」「うけねらい」「煽動・いたずら」「感情」「党派心」「金儲け」「政治的影響力」「プロパガンダ」の八つがあげられています(笹原和俊『フェイクニュースを科学する-拡散するデマ、陰謀論、プロバガンダのしくみ-』)。
今日、以前にも増してソーシャルメディアに触れる私たちは、正しいニュースとフェイクニュースを見分ける能力が求められます。けれども案外難しいようです。「事実/ファクト」よりもフェイクを煽る方が心地よいからなのか。あるいは自らを正義の使者に見立て悪を罰する感覚がある種の喜びを引き出すからなのか。しかし、そのような喜びこそ、まさにフェイク(いつわり)なのでしょう。
シャーデン・フロイデ(他人を引きずり下ろす快感)は当人を含め、すべての人を不幸にするばかりです。悲しみを更に深めるようなフェイクニュースが、私たちの社会から一つでも取り除かれてゆきますように。
*「質の悪いジャーナリズム」「偽りの文脈」「ミスリーディングな内容」「捏造された内容」に困らせられることはキリスト教会にとっても他人事ではありません。充分に気をつけたいものです。