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モダンジャズの種類について

2019年12月5日

モダンジャズとはなんぞや?その前に、ジャズって何?
どんな音楽?って思った方もおられると思います。
そんな方は「ジャズってどんな音楽?発祥や歴史、ジャズのあれこれ」をクリック!

上のリンクにあるジャズのコンテンツの中で“モダンジャズの特徴”として書きつつも、紹介していなかったジャズスタイルがありました。

それは、
バップ、クール、ハード・バップ です。
ここでは、このジャンルの歴史とそこに関わったアーティストを紹介していきます。

ところで、モダンジャズって?

1940年代に入ると第二次世界大戦の影響で、景気が悪くなりビッグバンドが衰退していきました。
アレンジを追及した、スイングジャズとは異なる方向性を求めるミュージシャンにより、即興演奏(アドリブ)を主体としたビバップ等の新しいスタイルが模索されるようになりました。

1942年8月から1943年秋にかけて、アメリカでは大規模なレコーディング・ストライキがあり、初期ビバップの録音はわずかしか残されていないそうです。

1940年代後半には、アルトサックス奏者のチャーリー・パーカー(Charlie Parker)、ディジー・ガレスピー(Dizzy Gillespie)等が多くの録音を残しました。彼らのセンスと演奏技術に基づいたアドリブ演奏は、瞬く間にジャズシーンに流行しました。
これが、ビバップの最初であり、この音楽は驚くべきものであり、和声的、旋律的、リズム的に革新を起こしたそうです。
今日の「モダンジャズ」と呼ばれる音楽の始まりでもあります。

ビバップについて

初期には、リバップ、後にはバップとして知られるようになったビバップは1940年代半ばにニューヨークに現れたジャズに与えられた擬声語的名称です。
この用語は、楽器演奏者が2つの音を素早く演奏するさまを歌手たちが「リバップ」や「ビバップ」などの2つのシラブル(音節)をスキャットして真似たことに由来しています。

第2次世界大戦直後のジャズとして、「ビバップ」や「リバップ」とも呼ばれた”バップ”の革新の多くは、アート・テイタム(Art Tatum)やコールマン・ホーキンズ(Coleman Hawkins)のような進歩的スウィングプレイヤーばかりではなく、20年代後半のニューヨーク派やバイダーベック(Leon Bismark Beiderbecke)がすでに手掛けていたものでした。

バップのリズムは、4/4拍子よりも8/8拍子に変わることが多く細分化されています。
ジェイムズ・リーズ・ヨーロップ(James Reese Europe)の<Down Home Rag>などの曲ですでに用いられていました。
この曲の基礎を成す拍子は2/4だが、流れている拍子は8分音符が担っています。

BCIキーボーディストによる「Down Home Rag」

また、バップの実践から生まれた技巧の広がりやとりわけ運動性についても先例があります。


ディジー・ガレスピー(Dizzy Gillespie)の傑作<Be Bop>に対して、それと等しい完成度を誇るロイ・エルドリッジ(David Roy Eldridge)の<Heckler's Hop>やジャボー・スミス( Jabbo Smith)の<Till Times Get Better>を聴き比べるとわかります。

バップは新たな出発点というより、むしろスウィングを究極の段階まで集約させ、強化したと考えるのが妥当と言えます。

その本質が伝統的であることは、バップの第一人者であるアルトサックス奏者のチャーリー・パーカー(Charlie Parker)の楽曲に、ブルース特有の音楽表現が強く感じられる点により、はっきりと裏付けられます。

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しかし一方では、バップの演奏家は一般に、とりわけチャーリー・パーカーは、ジャズの即興演奏から生じる表現の特性を大幅に拡大しました。

というのは、半音階でますます込み入った旋律線を用い、それにより数多くの多様な経過和声をそれとなく響かせる。
さらに、ソロ奏者とドラマーとの密接な関係のうえに立ち、小さな音価のなかでアクセントを間断なく変えることによって生まれてくるポリリズムも用いました。

即興では、複雑なシンコペーションや、初期のジャズ・スタイルの「ダブル・タイム」(2倍の速度)の16分音符で演奏されることが特徴でした。それにより伝統的なアプローチをとったミュージシャンたちは混乱し、この流れから外れていきましたが、それはこの新しい音楽のねらいでもありました。

バップは、時に非常に速いテンポをとりますが、悲劇的な調子を帯びることも多くあります。例として、絶えずつきまとうメランコリーと、名人芸による自己主張との間で、自分の才能を隠してくらました、トランペット奏者ファッツ・ナヴァロ(Fats Navarro)の作品や、チャーリー・パーカーに比肩するほどの影響を与えたピアニストのバド・パウエル(Bud Powell )の作品が挙げられます。
しかし、長い伝統を持った音楽を持った音楽に当然予想されることとして、バップの感情表現にはほかの側面も多々あります。


バド・パウエル(Bud Powell )
ジャズピアニスト。「天才」と呼ばれたそう。即興演奏をピアノで弾き始め、「ジャズ・ピアノ」の奏法の基盤を作った人。
彼は、ハインズの試みを改良し、左右両手が使えるピアノの機能をあえて右手に特化し、即興的なメロディ・ラインを演奏することに専念しました。従来左手が受け持っている、低音域でコード=和音を響かす役割をベーシストに、リズム・キープはドラムスに任せました。1940年代後半から50年代初頭にかけて音楽面の最盛期を迎えました。
しかし、50年代中期以降は麻薬やアルコールなどの中毒に苦しみ、精神障害(統合失調症)を患いました。この苦しい時期の録音においても、呻き声を発しながら鬼気迫る演奏を聴くことができ、これを含めてパウエルの個性として評価する声があります。
代表曲「My Heart Stood Still 」「Un Poco Loco」「Collard Greens and Black Eyed Peas」

優れた演奏者の多くはビッグバンドに集まりました。
しかし、アンサンブルとの共感があまりされず、アンサンブル自体も編曲された部分の音楽と、ソロ奏者自身の純粋化した語法との間で、関係がどんどん薄れていき、必然的に勢いが失われていきました。
大編成のアンサンブルをバップに取り入れようと試みましたが、失敗に終わったそうです。

バップの音楽スタイル

クインテット(トランペットとサックス、ピアノ、ダブルベース、ドラム)はすぐにビバップの定型スタイルとなりました。
標準的な演奏では、トランペットとサックスがユニゾン、または、ハーモニーを形成しながら「ヘッド」(既存のメロディーまたはテーマ)を演奏し、その後、ソロによる即興と終結部へと続いていきます。
ビバップのヘッドは不揃いで機知に富み、予測ができない8分音符の旋律と洗練されたコードが特徴的です。

1950年代から

1950年代が近づくと、主流のビバップは消えていきました。
しかし、その核となる音楽価値はその後のモダンジャズの中心であり続けました。それは依然としてバップではありましたが、新しい切り口をみせました。

クール・ジャズ

1950年代初期から半ばにかけて、アメリカの西海岸で発展し、白人寄りの傾向をもつジャズジャンルです。リラックスした軽いサウンドが特徴ですが、ビバップが持っている緊張感や複雑性、高度な即興が欠けている傾向があります。
マイルス・デイヴィスの九重楽団、ジェリー・マリガンとチェット・ベイカー(Chet Baker)のカルテットのように、対位法やハーモニーが強調されました。


チェット・ベイカー(Chet Baker)
トランペット奏者でありヴォーカリスト。彼は50年代には、すでにスターでした。
彼は、ほとんど楽譜が読めなかったため耳で覚え、また直感で演奏するプレイヤーでした。
その演奏は常にベスト・ジャズ・トランペッターのトップを獲得し、音楽教育を受けていたディジー・ガレスピーやマイルス・デイヴィスを超えていました。
一時は冗談ではなく、あのマイルス・デイヴィスを凌ぐ人気を博したことも。それには、彼の一種異様とも思える中性的なボーカルも一役買っていたようです。
一流のトランぺッターでありながらも歌をうたう、その歌声が魅了されました。麻薬の問題もあり、アメリカ、イギリスなど彼が行く国から追い出されたりもしました。
代表曲「Chet Baker Sings」「 It's Always You」「Almost blue」


アート・ペッパー(Art Pepper)
アルトサックス奏者。1940年代よりスタン・ケントン楽団やベニー・カーター楽団で活動を開始しました。1950年代には自己のコンボを結成し、ウエストコースト・ジャズの中心的な人物として活躍。
生涯を通じて麻薬中毒によりしばしば音楽活動が中断されました。1960年代後半を、ペッパーは薬物中毒者のためのリハビリテーション施設で過ごしました。1974年には音楽活動に復帰し、ふたたび精力的にライブやレコーディングを行いました。
1977年に初の日本公演を行い、このときの日本のファンの熱狂的な歓迎にペッパー自身が非常に感動したそうです。彼の音楽は、彼自身が音楽をやる悦びがそのまま伝わる演奏・楽曲です。
代表曲は「Surf Ride」「modern art」「meets the rhythm section」

ハード・バップ

ビバップから派生した、力強いハード・バップは、ブルースよりの爆発的なテーマや即興を強調し、1950年代半ば~1960年代初期に中心的なジャズスタイルでした。
その代表的存在は、サックス奏者のキャノンボール・アダレイ(Cannonball Adderley)と、ドラム奏者のアート・ブレイキー(Art Blakey)と彼の楽団ジャズ・メッセンジャーズです。


キャノンボール・アダレイ(Cannonball Adderley)
アルトサックス奏者。マイルス・デイヴィスのグループで活躍をし、ソウル・ジャズ、ファンキー・ジャズの立役者の一人としても知られています。
彼の演奏は、リズム感とフィンガリングテクニックを駆使した奇抜なフレージングが持ち味です。一般的に広く知られているのは、ファンキーなキャノンボールです。
ファンキーは元々はスラングで黒人臭さを意味し、そこから「ファンキー・ジャズ」は、黒人特融のアーシーな感覚を強調したジャズと言われる。実際の演奏のスタイルはハードバップであり、これにファンキーな味付けをしたのが「ファンキージャズ」である。
代表曲「Mercy, Mercy, Mercy 」「Cannonball Adderley Quintet in Chicago」「Nippon Soul」

BCIキーボーディストによる「Nippon Soul」


ソニー・クラーク(Sonny Clark)
ジャズピアニスト。自作曲は、ほとんどがマイナーキーで演奏され、ピアノのタッチに込められた硬質な表現があらわされています。
ピアニストでありながら、優れたミュージック・ライターでもありました。
彼は、日本人好みのジャズマンとしても名高く、31歳の時、麻薬中毒が元で心臓の発作を起こし亡くなりました。
代表曲「Be-Bop」「My Conception」「Blue Minor」

BCIキーボーディストによる「Be-Bop」


アート・ブレイキー(Art Blakey)
ドラマー。彼は優れたドラマ―でありつつも、卓越したバンド・リーダーでありました。
“Art Blakey & Jazz Messengers ”このバンドは、リーダーはアート・ブレイキーであるものの、メンバーは時代によってかなり大幅に入れ替わっていました。
しかし、それにもかかわらず同じ名前を用いているのは、その音楽がハード・バップを基調とする点で同一性を保っているからだそうです。
代表曲「Dat Dere」「Moanin'」


マイルス・デイヴィス(Miles Davis)
トランペット奏者。いわゆるジャズの巨人の一人であり、彼自身が語る“ジャズ・シーン”は「モダン・ジャズの歴史」です。
「ビバップ」「クール」「ハード・バップ」「モード」「エレクトリック・サウンド」「クロスオーバー」「ヒップホップ・ジャズ」など、時代に応じて様々な音楽性を見せ、ジャズ界を牽引しました。
彼のトランペットプレイは、ミュートを使用し、ヴィブラートはあまりかけないで、跳躍の激しい演奏などといったテクニックにはあまり頼らなかったそうです。

また、ディジー・ガレスピーのようなハイトーン演奏を避け、中音域がトランペットにおいて最も美しい音がでる、と多用し音から音へ移動する場合は半音階を用いました。また、即興演奏の恐ろしさを底の底まで知り尽くしていた人でした。
後には、無駄な音を出さないという「空間性」にも繋がっていったそうです。
楽曲上の主な特徴は、初期においては、テーマの後それぞれが順にソロ演奏を行い、その間バックアップとして呼応したり煽る事はあっても、アドリブ演奏を同時に2つ以上ぶつけることはしませんでした。

ここで「ハード・バップ」についての説明を。世間では“ハード”という言葉に引きずられて、「ビバップをより熱狂的にしたもの」なんて言う人もいますが、実際にビバップの代表的な演奏を聴き、それとハード・バップへと変化していく過程を聴けば、実際は逆であることに気がつくと思います。

彼は、自分の音楽に対して冷徹な眼をもって評価していました。
例えば、「Kind・of・Blue」というアルバムは彼自身が失敗作だと言っています。「そこで俺がやろうとしたことは、完全な失敗だった」と。
代表曲「Penetration」「Agharta」「 Boplicity」

まとめ

・バップ、クール、ハード・バップの始まりは、アレンジを追及したスイングジャズとは異なる方向性を求めるミュージシャンにより、即興演奏(アドリブ)を主体とした新しいスタイルが模索されて生まれた。
・バップとして知られるようになったビバップは1940年代半ばにニューヨークに現れたジャズに与えられた擬声語的名称。この用語は、楽器演奏者が2つの音を素早く演奏する様を歌手たちが「リバップ」や「ビバップ」などの2つのシラブル(音節)をスキャットして真似たことからの由来。
・クール・ジャズは1950年代初期から半ばにかけて、アメリカの西海岸で発展し、白人寄りの傾向をもつジャズジャンルであり、リラックスした軽いサウンドが特徴。ですが、ビバップが持っている緊張感や複雑性、高度な即興が欠けている傾向がある。
・ビバップから派生した、力強いハード・バップは、ブルースよりの爆発的なテーマや即興を強調している曲調である。

*参考図書*
・『ニューグローブ世界音楽大事典8』、講談社、1993年。
・『世界の音楽大図鑑』、河出書房新社、2014年。
・『ジャズの名演・名盤』、講談社、1990年。

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